「大脱出 Escape Plan (2013)」。

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大脱出
(原題:Escape Plan ミカエル・ハフストローム監督、2013年、米)

【大脱出ポスター】




※ちょっと、ネタバレしているかもしれません。









個人的には100点満点で75点くらいかと。
予告編から想像していたよりはずっとずっとよかったが
もうちょっといけたんじゃないかとおもった。
でもニヤッとしてしまうような良さがところどころにあって捨てがたい。
おもしろかったし。

それにしても、レイトショー枠で映画館に観にいってみると、
なんとも説明しようのないほど ものすごくいろんな人が観に来て
驚かされた。
ロッキーとかコナン・ザ・グレートのころから
スタローンやアルニーを観てきたよというかんじの
大人の男性はもちろんのこと、
大学生くらいのカップルもいたし、
家族連れもいたし、老夫婦もいたし、
母娘ふたりで、というのもいたし、
中学生くらいの男の子が集団で観に来てもいたし、
わたしみたいに女がひとりで、というのもいた。
若い人が好きそうなイケメンスターが出ていたわけではないし・・
いちばんそれに近い役者さんとしてはジム・カヴィーゼルさんかとおもうが
ちょっと地味すぎるだろ!
スタローンやアルニーはそんなにも いろんな人を惹きつけるのかあ。



・・
主人公のブレスリン(スタローン)は「脱獄のプロ」。
セキュリティコンサル会社の社員として、身分を偽って囚人として刑務所に入り、
脱獄してみせることによってその刑務所のセキュリティ上の欠陥を指摘する、
という仕事をしており、
刑務所の運営管理に関して提案した著書もある。

今回もちこまれた商談は、民間企業が考案した実験的刑務所への入所。
施設の所在地を明かせないと言われるなど依頼内容に謎が多く、同僚らは難色をしめすが、
破格の報酬につられた社長のほぼ独断で、仕事を請け負うことになってしまった。

暴行を加えられたうえに麻酔薬を注射され、拉致同然に連れてこられたそこは、
ホッブズ(ジム・カヴィーゼル)というサイコ野郎が牛耳る、
人権完全無視のまさに実験的刑務所だった。

あまりにも異様かつ危険な管理体制に、ブレスリンは身分を明かして退所しようとするが、
ホッブズは意に介さず、彼を閉じ込め続ける。

この施設が、自著で提唱したスタイルにもとづいてつくられていることに気づいたブレスリンは、
自分が考えだしたいわば「完璧な刑務所」からの、脱獄をはかろうとするが、
そこへロットマイヤー(シュワルツエネッガー)という囚人が現れて、
なぜかブレスリンに接近し協力を買って出るようになる。

・・・・


【スタローン・シュワルツエネッガー】


収容された刑務所がどこにありどういう作りをしているのかを
ブレスリンが必死で探ろうとする、前半部分は、とくにかなりドキドキしながら観た。
窓などがなく、方角も地形も一切わからない。
意識を失って連れてこられたので、アメリカですらないかもしれない。
何もヒントがなく道具も与えられていないところから、
手掛かりをつかみとっていくのは、みていておもしろかった。

ロットマイヤーがブレスリンに、ある品の入手を頼まれて、
文字通り体をはって手に入れてくるところはすごかった。
そこまでするか、と思った。

ホッブズのサイコ野郎っぷりを
「クラシック音楽を聴き、蝶の標本をいじりながら、部下に囚人の拷問の指示を出す」
という端的な描写で表現しており、
これはいかにもなかんじで、ちょっとなあと思わないこともなかった。
でもジム・カヴィーゼルさんは「パッション」の役者さんだけあって名演。
最強に気持ち悪かった。
黒眼(青だが)の面積がおおきいわりにあまり光が当たらなくて、
なにを考えているのかさっぱりわからない。
暴力をふるったり大声で怒鳴ったりする奴よりも、
ほんとうに怖いのはああいう陰にこもった、
ステキなスーツなんかを着こんだうちに残虐性を隠している奴なんだよな・・

終盤、ブレスリンとロットマイヤーがいよいよ脱獄計画を実行にうつすところで、
監視カメラにちょっとイタズラをするシーンが。
あれは、観たそばから「巻き戻してもう1回観たい!」とおもったくらい、
カワイかった。


ところで、本作は、
いろいろと、展開させることが可能そうな、
おもしろいテーマをもっている物語だったのに、
それを全然活かそうとしていなかったところに、もったいなさを感じた。

たとえばムスリムの囚人をひとり仲間にいれることに成功し、
彼の信仰心(きまった時刻に、外に出て、神に祈りをささげたいという気持ち)
をつかう形で、計画を進めようとするところ。
なかなかおもしろかったのだが、この信仰篤い囚人の心の中で、なにがおこっていたか、
もうすこしみせてくれてもよかったとおもう。
彼がなぜにああまでしたか、納得できるほどには、
彼のことを掘り下げていなかったような気がする。
というか、英雄的なラストシーンだったけど、
よくかんがえると、彼って、犯罪者なんだよね(+_+)

また、「自分が考え出した刑務所から、脱獄できるか。」
というテーマ自体、やろうとおもえばもっと、深められたのではないか。

脱獄してみせることによって刑務所の欠陥を指摘するということは
脱獄できないかぎり彼は囚人なのであり、
仮にどうしてもどうしても出られなかったら、
それは理論的には、一生刑務所暮らしということなのでは。

もしものときは退所できることになっているとはいえ、
このような性質をもつ稼業に身を投じる彼は、
心が半分死んでいるというか、難しい問題をかかえている人に見えた。

案の定というかなんというか、
ブレスリンがこの仕事を選んだ背景には、
つらい過去のできごとがからんでいるようで、
彼が妻子を失くしているらしいことも暗示されていた。

はっきり語られなかったが、脱獄囚によって、殺されてしまったというのが
順当なところかとおもう。

つらい過去に苦しんでいるというのは いってみれば
自分を過去に閉じ込めているということであり、

「自分が考えた刑務所からの脱獄」ということとからめて、
もうすこしそのへんのドラマを出してもよかったんじゃないか。

公営刑務所のずさんな管理体制に、体をはって警告を発し続けているにも関わらず、
状況が改善されないことに、彼はもっと個人的ないら立ちを、募らせていてよかった。
ホッブズの刑務所からも、出たいし出なくてはならないと思ういっぽうで、
「また脱獄できてしまうのか」と、苦しんでいてもよかった。

そういう、あってもよさそうな、ブレスリンの苦しみや葛藤は、
本作ではぜんぜん描かれていなかった。

ちょっとそこは残念だった。

軽めのサスペンスアクションだが、ちょっと考えさせる深みをもった映画
たくさんあることだし、
本作がそうあったとしてもバチはあたらなかったとおもうのだが(-_-;)

もろもろ、まあこんなもんかなあ、というかんじで終わってしまったが、
しかしまあおもしろく最後まで観られたことはまちがいない。

最後になったが、この邦題は、いくらなんでもダサい。
「大脱走」にひっかけているのだろうか・・
それにしたってちょっとなあ。

新年、スクリーン鑑賞1本目。
まずまずの滑り出しといったとこ。

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