「JSA(2001)」。

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JSA
(原題:공동경비구역 JSA、パク・チャヌク監督、2001年、韓国)

【JSA】


53年の朝鮮戦争休戦以後、南北の境界線である板門店という村を、
2国プラス中立国のスイス・スウェーデン共同で警備することになったが、

(いまの朝鮮半島情勢をみればわかるが)
警備線エリアはつねに緊張状態におかれていた。
JSAは、共同警備地域・・ジョイント・セキュリティ・エリアの略とのこと。

99年、警備線の北朝鮮側の見張り小屋で、銃による殺傷事件が発生。
発砲音が聞こえた方から、韓国側の兵士が1人、ケガをおって、走ってくるのが発見され、
見張り小屋では北朝鮮側の兵士が2人、死んでいた。
銃撃戦のなか韓国側はこの脱出兵を保護、
のちに、発砲したのが彼であったこともわかったが、
なぜ彼が北朝鮮側の小屋にいたのか、はっきりしない。
恒常的に一触即発の状態にある両国が、この事件をきっかけに戦争になるのは、
だれにとっても避けたい事態。
スイスから派遣されてきた韓国系スイス人の女性調査員は、事件精査の任務にあたる。
しかし、韓国側は「兵士は拉致されて小屋に連れ込まれたのを脱出してきた」と主張し、
北朝鮮側は「兵士が突然小屋におしこんできて発砲した」と譲らず、
両者の陳述書の内容は、まったく食い違っていた。・・

劇中、後半、スイス側の責任者が
「両者のほんとうの狙いはこの件の真相がうやむやのままに、処理されることだ」
という意味のことを言っていた。
正直なところ、観ているとまったくそのとおりだったように思う。
それを、女性調査員が彼女自身のエゴからだったのか、むりに暴き立てようとしたために、
最悪の結末になってしまったんじゃないかなと、個人的には感じた。
彼女はもうちょっと、うまく立ち回ってもよかったんじゃないか。
いわゆるひとつの茶番なんだよ。この物語。構成上。

ただ、ハイそれまで、と、興味を失ってしまえるのかというと、
そうでもなかった。

作りの上でのほころびや、ちょっとした矛盾点なんかがあっても、
またもう1回、2回と観たくなるような、ドラマにしあがっていた。

ことの発端は、南北の見張り兵どうしの間ではからずも芽生えてしまった、友情にあった。
その友情の、「おわり」がはじまったときの、彼らの悲しみがひしひしと伝わって、
気の毒としかいいようがなかった。

自分たちの心のつながりは、やっぱりこんなもんだったのか、という
情けなさや絶望を感じつつ、同時にそれでもお互いを信頼したいと願いつつ、
恐怖にかられて、まともな判断はとてもできなかったのだとおもう。

怖がって震えながらギャンギャン吠え立てる野良犬同然で、
かわいそうで見られたもんじゃなかった。

人と人とが友だちになるのに、恐怖や心配など無用のはずなのだが、
国家間の戦争ってものが、彼らをああまで怯えさせてしまった。

本作は完全なフィクションらしく、
じっさいに南北の警備兵が親密になることが
ありえるのかどうか、ちょっとわからない。

でも事実は小説より奇なりというから、だれも声に出してはいわなくても、
こういうことがおこったりした、またはするのかもしれない。

物語のおわりに、主要キャラクター4人が写りこんだ1枚の白黒写真を
ズームアップして、ひとりひとりの表情をえがきだすというシーンがあった。

みんなしゃちほこばって任務を遂行しているように見えて、
こっそりおどけたり笑顔を見せたり、
彼らにしかわからないやり方で
友情をたしかめあっているのが、わかるものだった。

顛末をもう観てしまっているだけに、切なくてたまらなかった。

韓国側脱出兵を演じたイ・ビョンホンさんを わたしは「RED リターンズ」で
はじめて観ており、彼は本作でもいいかんじの演技をみせてくれたが、
(娯楽的アクションシーンがあるわけではないので”かっこよさ”はなかったが。)
彼以上に、北朝鮮側の見張り兵を演じた役者さんが、際立っていた。
朝鮮半島というよりは、モンゴルとかの人を思わせるお顔だったように思うけど。

最初はいけすかない男にみえたけど、懐が深く、もっとも冷静で、
みんなをできうるかぎりの形で救おうと、奔走した人だった。

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