「源平盛衰記異聞 巴御前 女武者伝説」

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「源平盛衰記異聞 巴御前 女武者伝説」
(監督:岡村俊一 脚本:渡辺和徳 明治座 11:00~)

【巴御前パンフレット】


このところ演劇にちょっと興味がわきつつある。
よくわからないなりに、とにかくいろいろ観てみたいと思っていたところ、
まえの職場の先輩が、SNS上で、チケットゆずりますと呼びかけていたのを見て、
まよわず飛びついた。
なんでも、先輩のお知り合いに、明治座関係者がいらっしゃるそうで、
ときどき、招待チケットをまわしてくれたりするようだ。
うらやましいお知り合いがいるなあ。
Mさん、チケットほんとにありがとうございました!
明治座関係者のお知り合いの方にも、どうぞよろしくお伝えください。

ちょっと(休日にしては)がんばって早起きして明治座へ。
浜町駅で降りたのも、明治座も、初めて。

【明治座】

これは明治座を正面から見上げて撮ってみたもの。 


源義仲(木曽義仲)に仕え、女性ながら武芸の達人だったといわれる巴御前は、
じつは現代からタイムスリップした自衛官だった、という設定の、
時代ものの舞台だった。
巴御前(自衛官・清水朝陽)が黒木メイサさん、木曽義仲的場浩司さんと
若い人にファンが多い役者さんをそろえていて、
ロックミュージカルみたいな音楽と演出、
アクションシーンももりだくさん。

黒木メイサさんはキレイだった・・ あの人のキレイさってほんとなんなんだろうな・・
そして動ける!! アクションがここまでとは思わなかった・・
あれだけ動いても息が乱れず、
声もかれていないというのは・・(@_@)
役者ってスゲエ。


メイサさん、「義仲には手を出すな!」と源頼朝(西岡徳馬さん)に叫ぶシーンで
おもいっきりセリフをまちがえて「義経には手を出すな!」と言ってしまった(^_^)

朝陽はこの時点で、義経にも出会っており、自衛隊の部下にうりふたつの彼に、ひかれていたが、
それ以上に木曽義仲との男女を超えた絆が、強固なものになっていた。
だから、「義仲」と言うべきところだったのは、はっきりしていた。
それに、彼女が「義経に」といったのに、西岡徳馬さんが、
「ふん、義仲に手を出すな、とな?」と
さりげなく訂正して返したので、あ、やっぱりまちがえちゃったんだなとわかった。
西岡さんは、観客が万が一にも混乱しないように、即興であのセリフを言ったんだとおもう。

照明がガンガン当たって、メイクをしていても、はっきりわかるほど、
メイサさんのお顔が赤く染まった(カワイイ。)。
でも、表情をまったく変えなくて、そのあともすこしも演技の乱れやさらなるミスがなく、
さすがだった。

なにやら清々しいほど、ハッキリとミスったので、
まちがえたんだなとわかりはしたものの あれ、気のせいか?とおもったというか、
なんかどうでもよくなったというか、
とにかくそのまちがいのせいで、集中力をそがれたということは、一切なかった。
物語の展開が早く、ひとつひとつのシーンに盛り込まれた要素がとても多かったので、
観るほうもそれらを頭のなかで処理するのに一生懸命で、
ちょっとのポカに、いちいちとらわれるひまはなかったのかもしれない。



的場浩司さんの木曽義仲もとってもいいキャラクターで、
木曽義仲のことにきゅうに興味が湧いて、あとでネットであれこれ調べたりしてしまった。

乱世に生き、平家方との戦いに明け暮れる義仲が、巴や家臣たちに「生きよ」と教え、
戦争をしないことになっている現代日本の自衛官・朝陽のほうがむしろ
「殺さなければ殺される」と
戦場の掟にすばやく適応していくようすには、すごく考えさせられた。

義仲は「巴は竜神の使い」という噂を流させ、敵を恐れさせあわよくば退却させる方法をとった。
それで戦争そのものが終わることまでは期待しないにせよ、
できるだけ死者を出さぬよう、戦闘をしないですむようにとの考えからであった。
また、死者は敵味方の区別なく手厚く葬ろうとし、京から召命があっても
「葬送に時間がかかるので、行くのが遅くなる」と言ったりしていた。

朝陽は自衛官だったとき、「攻撃されない限り、手を出してはいけない」という
ルールを守らなくてはならなかったために、
演習で何者かに襲われた際 対応が後手にまわり、部下を(おそらく)死なせてしまった。
そのことでずっと苦しんでおり、
自分に使える力があるなら、味方の命を守るために戦うという考えを、もつようになったようだった。

朝陽の
「(おまえたちの)命よりも大事なものなどあるものか!」という言葉に対して
義仲が
「命よりも大事なものはない、と言い切れるのは、おまえのいた未来が、それだけ平和な
ものだからだ。われわれの生きるこの時代には、命を懸けなければならないことが、まだまだ
山ほどある。」
というようなことを言ったのがすごく印象的だった。

朝陽は、もといた現代に帰りたいのであり、いつかいなくなる存在なので、
この乱世に、責任がない。
けれども義仲は理想を追究するために戦い続けており、
自分たちが天下をとって世の中を良くするのだと、責任感をもって、生きている。

朝陽の考え方が、軽いとか甘っちょろいというのでもないのだが、
やっぱり義仲と朝陽とでは、背負っているものがまったく違うようにおもった。

義仲は、「命を捨てることなど怖くない、死んでも、未来の世にはお前がいる」と、
おのれの生きざまを語り継ぐよう朝陽に命じて、最期の戦いに身を投じていった。

義仲たちの最期の戦いは、不意打ちだった。
というのもわたしは
「絶対的少数派が、絶対的多数派や国家権力に牙を向く」
という、構図に弱い。
映画や本で、その手の構図を発見してしまったら最後、
たいてい、あとでぐったりしちゃうくらい大泣きすることになる。
わたしの前世に、そんな経験をした人がいて、
その人の魂がわたしの体を使って泣いているのではないか。
もう、そのくらいの「いかんともしがたさ」で、泣いてしまう。
というわけで、もう、
観ていて鼻がツーーンツーーンとなり通しの、涙出まくりで、大変であった。
木曽義仲のことは歴史の授業で習ったかもしれないけど、
ぜんぜん覚えてなかったし・・・。


源義経は、最初は小憎らしいほどカッコイイ、シュッとしたキャラクターだったが、
あるきっかけで、憎しみと絶望の権化のような男に変わっていった。
豹変のようすが、とても良く演じられていたからこそ、こう思うのだろうが、
非常に残念だった。心情は痛いほど理解できたけど、ああいうふうにはならないでほしかった。

義経って、ほんとに、いろんなところで、いろんな描かれ方をするキャラクターだよなー。





アクションあり、涙あり、カワイイ笑いもちょっとあり、のすばらしい舞台だった。

ただ細部や、ラストは、ちょっと弱かった。

たとえば、朝陽がタイムスリップした原因とおもわれる、演習中の事故というのが、
けっきょくなんだったのかが、謎のままだった。
朝陽は、義仲に、
「明らかに自分たちを狙って、何者かが攻撃をしかけてきた」と
打ち明けていた。
それっていったい誰だったのかなあと、最後まで気にせずにはいられないくらい、
朝陽がその話をする場面には、時間が割かれていたのだが・・。

また、朝陽がひそかに想っていた部下と、
源義経の外見が、うりふたつという設定だったのだが、
なぜこのふたりが うりふたつなのか、よくわからなかった。
部下への想いに、朝陽が決着をつけられるよう、
運命がふたりを似させたのかもしれないが、
ちょっとハッキリしなかった。
ハッキリさせてもいいとこだったのではないか。

朝陽が、タイムスリップしてきた、未来の人間であるということを、
義仲の家臣たちが(彼らなりに)受け入れたのも、驚きであった。
ああいうときは、未来から来たなどとヘタにいって怪しまれたら殺されると、
だまっているのがふつうではないか。
それでなくても、
味方であろうと、もっと、朝陽を疑い続けていてよかったし、
むしろ彼女を頭から信じているのは義仲だけ、くらいでもよかったような気がする。
すくなくとも、倶利伽羅峠くらいまでは。
「火牛の計」が成功した時、なぜ峠の頂上に、放牧された牛がいるとわかっていたのかと
周囲の者に聞かれて、説明のしようがない朝陽は、
「わたしはただ、ここに牛がいると知っていたんだよ!」と
じれったそうに叫んでいたが、
あれも、まわりの人間が、朝陽が何者かをわかっていない(信じていない)状態のほうが、
おもしろいシーンになったんじゃなかろうか。
じっさいには、朝陽は自分が未来からきたことを、わりと最初の方から義仲たちに伝えており、
義仲が彼女を受け入れているからと、彼らも彼女を受け入れ、
やがて強い信頼関係でむすばれていった。

話をあまり複雑にしないために、感じの悪い奴は源頼朝だけ、にしておき、
ほかのキャラクターはみんな、好感のもてるかんじにする必要があったのかな・・

それにしても朝陽は、火牛の計なんてよく知ってたな・・・
日本史が好きで、資料集を昼休みとかに読んだりしていたという裏設定でもあるのかなあ(-_-;)

また、朝陽が、源頼朝に素性を見抜かれ身柄を彼のもとにうつしたり、
法皇に気に入られて義仲と引き離されたりしたのに、
どこをどう抜け出してきたのか、わりとすぐに義仲と再会・合流していて
ふたりを阻むものが少なかったのにも ちょっと、?とおもった(^_^)
時の権力者に気に入られたらもう、
今生の別れくらいのものではなかろうか・・。


ま そんなもんか。
どれもこれも大した問題じゃなく思える。
全体的にはすごく楽しかったもんね!!


カーテンコールにまで殺陣が取り入れられていて、
役者さんは最後まで気の抜けない構成になっていた。
最後にはダンスまで見せてくれて、楽しかった。
メイサさんが一瞬見せた笑顔のかわいさにやられて、彼女にくぎ付けになってしまったが、
的場浩司さんや西岡徳馬さんも、あのダンスを踊ってたのかどうか、
ちゃんと観とけばよかったなあ(-_-;)





















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