「藁の楯(2013)」。

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【藁の楯】


藁の楯
三池崇史監督、2013年、日本)

おちついてよく、自分の心の中をたしかめてみた結果としては、
うーーーーん

とてもむずかしいけれど・・ この映画は・・

正直いって、
そこまで・・・
わたしにとって「スゴく」よかった、と思えるほどのものではなかった。

カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に、正式出品がきまったと聞いた。
そりゃ日本人としては、うれしいことだけれども、
なにかの間違いじゃないかと思う。

もし 権威ある賞かなにかをもらったりしたら、カンヌ、大丈夫か!!!
って、わたしは思うだろう。
まあ受賞するなんてことは、ないと信じたいが。

といったらちょっと言い過ぎだが、

三池崇史監督自身がそんなにこの映画を 深刻に・・というかこう・・
だいじなものと考えて作ったとは、わたしには思えない。

三池崇史監督は、このくらいのことはふつうに、ほいほいっとやっちゃう感じの人って気がするし、
あの人は 映画をつくることがそんなに崇高なことであるようには考えていない人っぽいし

娯楽なのだ。
逆に言えばそういう人だからこそ
いろんな意味でマジとんでもないこういう映画を、
ド~ーーン!と作れてしまうんだとおもう。

それはたいへんなことだし まぎれもなく、才能だ。が、
ただ、単純にわたしに ぶんなぐられたようなショックを与えたかどうか、という意味では
スキヤキウエスタンジャンゴとか、殺し屋1とか、悪の教典のほうが、よほど、すごかった。

本作は、早い話が、ちょっと、粗過ぎた。

映画にでてくる日本の警察が、もう、笑ってしまうくらい(じっさい笑ってしまった)ショボくて、
わたしのようなニブイやつでもそうなのだから、
海外の刑事もの・クライムサスペンスもののドラマを観慣れている人たちには、
この程度では、ものたりないだろうなと感じた。

とくに新幹線セクションがおわってからは、「なんでだよっっ!!!」の連続であった。

クズみたいなやつだとわかっていても 法にてらして、裁かなくてはならず
なんとしてでも守り抜き、裁判にかけるために検察に移送しなくてはならない、 
だが、クズみたいなやつである。
はたしてそこまでして 守らなくてはいけないのか、それがほんとうに正しいことなのか?

そこの葛藤を、よびおこす物語だったことはまちがいないが

問題提起のタイミングが、はやすぎたのと、おなじパターンがくりかえされるのであきてしまうのと
共感をさそう心理描写が、ていねいになされていなかったのとで
もったいない仕上がりになっていた。

さて、・・あんまりよくなかったかのように、ここまでいろいろ書いてきたけれども
わたしはちっとも、この映画を観たことを後悔していないし、
やっぱりスゲーな!!!っていう気持ちが強く 残った。

とくに、藤原竜也さんに、やられた。
彼が演じた犯罪者を、見ていても、べつに、むかつくやつだなあと、イライラさせられたりは、しなかった。
なぜなら、自分の理解を完全に超えていたし、
なにを考えて生きている男なのかちっともわからなかったからだ。
人間の形をしていたけれども、心を持っているように見えなかったし
ズレていた。完全に。

イライラとはしなかったけど、気持ちが悪かった。震えがきたほど。

こんなことを書いたら アレかもしれないけれども、人間というよりは・・
脳機能の付属した、男性器であった。
人間の服を着て、一生懸命人間のふりをしているような。

実際にそんなシロモノが街に存在してるとこをちょっと想像してみよう。
すくなくとも、人間に見えるはずはない。
だが、見てなんといえばいいというのだ。非難する?ってなにを?イライラする?って何に対して?
だから、生まれてこない方がよかった男なのだ。
そういう男を演じきった藤原竜也さんであった。

わたしはほんと なんといったらいいか(-_-;)

藤原竜也さんの演技をみられただけでも もうこの映画を観た意味はあった。
さらに、大沢たかおさんの面構えといい、彼と藤原竜也さんの対決の場面といい

いやー 彼らをこうやって 観られる時代に生まれることができて、幸せだなと思った。
松嶋菜々子さんも健闘していたし。

三池崇史監督が この映画をここまでのものにするつもりだったかどうか、
社会に何かの警鐘を鳴らしたいとか、たいそうなねらいをもってこの映画を作りはじめたかどうか
は、べつとしても

役者さんたちのすさまじい熱意が どうしても そういう映画に仕立てていった、というかんじがした。
そのような作られ方が 映画として、いいのか悪いのかはわたしにはわからないけど。

三池崇史監督の次回作に もちろん期待。
大沢たかお藤原竜也松嶋菜々子さんがたの それぞれの次回作もぜったい観たい。

本作は異色作ではあるとおもうが、秀作かどうかは微妙。
ただ、観るならぜったい大スクリーンで。
松嶋菜々子さんのお化粧くずれをものともしない女優魂や
藤原竜也さんの顔色の変化や眼の動き、浮いてくる血管の一本一本まで 
目に焼き付けたほうがいい。

ネオクラシカルな ざらついた画面のかんじを、楽しんでほしい。

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