「ライジング・ドラゴン 十二生肖/Chinese Zodiac (2012)」。

| EDIT

ライジング・ドラゴン
(原題:十二生肖 英題:Chinese Zodiac ジャッキー・チェン監督、2012年、香港・中国)

【ライジングドラゴン】


ジャッキーが出演する、中国・香港製の映画を、レイトショー枠で観に行くと、いつも思うことがある。

すなわち、観に来ているお客さんたちに、オモシロい感じの人、振り切れた感じの人が、
かなりの割合で、いる(^_^)

たとえば、タンクトップに短パン姿でチュロスを3本くらい食べながら観てる100キロはありそうな巨漢。

そのほか、うまくいえないが「酔拳」とか「クレイジーモンキー」とかに出てきたような
「おめーに食わせるタンメンはねえ!」とかいまにも言いだしそうな
ああいうかんじのお客さんがリアルに、かならず何人か、来る。

そして全身ピンクか白でまとめたフリッフリドレスの50代後半くらいの女性。

(レイトショーで空いていたからか気にはならなかったものの、)
前の席におもいっきり足をかけてくつろいで観てるご夫婦。

アジアのどこかとおもわれる言葉でめっちゃおしゃべりし 笑ったり泣いたりにぎやかすぎる家族客。
などなど・・・いろいろ(^_^)

こういうお客さんが ほかの映画のときは絶対いないとまではいわないが、
ジャッキー映画のときは、遭遇する確率が上がる。

マナーが悪いなあと感じる場面もすくなくない。だが
ジャッキー映画のときは わたしもなぜか(いつもよりは)そういうのを、許せる気持ちになるということに
ちかごろ気がついてきた。いやだなーと思わないわけじゃないのだが・・、
いつもなら、がまんできなくて途中退場するか しずかにしてくれとか本人に言ってしまうところを
なぜかジャッキー映画のときは「こういうのもふくめて ジャッキー映画を観るということ、なんだ」
と、考え方がすこし、変わる。
あきらめがつくというか・・
「いろんな人がいて でもみんなジャッキーが好きなんだね」みたいな
心がちょっと広くなるというか・・

ついでに、ジャッキー映画のレイトショー枠は、来るお客さんの年齢層が総じて高い。
還暦をとうにこえていそうなおじさま・おばさまが、ひとりで観にきてるのを見かけることなど
まったく珍しくない。
そうかとおもえば、「北の国から」の純くんみたいな おせじにもあか抜けているとはいえない風貌の、
大学生くらいの男の人が、パンフレットを胸の前でだいじにかかえて、入ってくることも。

こういっちゃあれかもしれないが ジャッキーの映画をレイトショーで観ると
上映前からかなりおもしろいのだ。


さて、「ライジング・ドラゴン」、
たのしかった。

物語はこう。
19世紀、列強国の中国侵攻で、清朝時代のお宝の多くが国外へと持ち出されてしまった。
王家の庭園にすえられていた、十二支をかたどったブロンズ像(十二生肖)も、世界各地へ散逸。
時は現代、骨董品ディーラーのMP社は行方不明の十二生肖を探させるため、
トレジャーハンターのJC(ジャッキー・チェン)を雇う。
JCと仲間たちは、十二生肖を求めて各国を駆け巡る。
最新技術を駆使して本物とみまがうようなレプリカを用意し、たくみにすりかえるという手口で
次々と本物を手に入れていく。
しかし、MP社のねらいは十二生肖だけではなく、JCもJCで、別の目的があった。
一方、国の宝物を取り返し保護する活動をおこなっている団体の代表・ココも、
JCが自分たちとおなじ目的で十二生肖を追っているものと勘違いし、彼らに協力。
JCらは、ココの知識と人脈がほしいために、素性を隠しながら彼女と行動をともにするが・・・


ジャッキー、ほんとに美しかった。すごすぎ!
死ぬかもしれないと、彼自身が感じつつも、信念につきうごかされて危険に身を投じていくJCの姿。
かのジョン・マクレーン刑事も、彼の仕事っぷりには考えさせられるところがあるにちがいない。

「ジャッキー映画における“欧米人”のカリカチュアライズっぷり」は
「プロジェクトA」とかの頃のそれと、まったく変わってなかった。
むしろ「いまだにそんなふうかよっ!」感が加算される分、
昔のジャッキー映画より、いまのほうがひどいとさえ感じられた。
チャイニーズセレブの描き方も、相当 皮肉がきいていたのだが・・。

それに、女性キャラクターたちの、アタマ悪い感じも、
「プロジェクトイーグル」とかのときとなんら変わるところがなかった。

デキる女性キャラも、ひとりいたのだが、でてくる女性たちみんなの頭脳と身体能力とセクシーさが
抜き取られてそのひとりに集約され、ほかの女性たちはみんな幼女のよう。

こんなふうにしか扱ってもらえないことはわかっていただろうに、よくみんな、出演してくれたなあ。

・・でも、そういうところもふくめて、もはや、「ジャッキーはジャッキー」だ。
人が死んだりケガする場面を見せないところ、
ラブシーンはキスすら安易に入れないところ、
喜劇的な要素をとりまぜ、暗くなりすぎないようにしてあるところ、

どれをとってもジャッキーは変わらなかった。安心して楽しむことができた。

本作の舞台のひとつが、フランスになっていた。
フランス製のコメディやアクションにも、たいがい愛すべきしょーもなさを湛えたものが多いが
ふたつの国のしょーもなさが、奇跡のブレンドをはたしており
フランスセクションでは、しょーもなさがそれこそミシュラン三ツ星ランクであった。
くだらねえギャグの数々や イヤそこにそんなに時間つかいますか的なところや
でもそういうのを感じることこそが 外国の映画を観ることのおもしろさなんだとおもう。

ジャッキーの、現代の国際関係や、歴史・政治にたいするものの考え方が、
かなり色濃く、本作には出ていた。
いや、もっといえば、政治とかなんとかというよりも、同胞である中国の人々、
それもセレブリティとかではない、一般の人々にたいする、
ジャッキーなりの叱咤激励。

彼がそういうことにアツいってことを、知ってる日本人はそんなに多くないとおもう。
映画でハッキリと打ち出してきたことも、いままであまりなかった。
あっても、本作ほど、「彼自身の言葉が語られている」と、感じたことがなかった。
でも本作は、主人公の呼び名が「JC」、ジャッキー・チェンのイニシャルだ。
それもあって、JCの言葉はジャッキーの言葉だと、感じられたのだとおもう。

後半のほうが、あきらかに本領発揮感があり、すごく楽しめた。
まばたきするのももったいないくらいの、ジャッキーアクション
もう、おっさんなんだけれど、下半身や体の芯の部分がどっしりして 安定感がハンパなかった。
若い仲間と競ってトレーニングする場面をわざわざ入れたりしていておかしかった(^_^)

ジャッキーの映画は(とくに古いものは)色があんまりキレイじゃないイメージがあるが
本作はカラフルで、観ていて楽しかった。
日用品や、手近にあるいろんなものを武器にして戦う、ジャッキーお得意のアクションシーンでは、
いろんな色のいろんなものが飛んだり回ったり、すごく美しかった。

香港・中国の映画で活躍している役者さんたちがチョイチョイ顔を出してきたのも
おもしろかった。
ジェイスン・ステイサムやビビアン・スーと共演したあの女優さんや
「女帝 エンペラー」や「ブラッドブラザーズ」に出てきたあの役者さん、
ジャッキーのあの人まで出てきたのにはおどろいた。


ジャッキーが、スタントなしアクション大作から引退すると表明したことは、さびしい。
でも、レンタルショップやリバイバル上映に行けば、彼にいつでも会えるのであり、
彼にあこがれてその世界にとびこんだ人たちが世界中にいて、スターをめざして腕をみがいている。
それに、すくなくともわたしは、生きている限り、ジャッキーを忘れない。
ジャッキーがなしたことの途方もなさを感じる。
彼は引退するけれども、ファンをおいていくことはありえないんだなあと思う。


本作がジャッキー映画の最高傑作かどうかは、いまはわからない。
が、集大成であったとおもう。

さびしいぞ・・・けど・・・ジャッキー、ありがとう。

COMMENT

POST COMMENT


TRACKBACK

TRACKBACK URL

↑
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。